落花生は、約半分が脂肪で出来ています。脂肪が多い食品と関連が深いのは心臓や血管です。悪い油は心臓や血管を傷め、良い油は心臓や血管を保護します。落花生の脂肪分はこれまで書かせて頂いたように、オメガ9のオレイン酸を中心とした良質な脂肪です。落花生の心臓や血管に対する影響についてはたくさんの研究がありますが、ここではひとつだけ紹介させて頂きます。この研究では高コレステロール血症の男性60名を2つのグループに分けて、一方は通常食だけを食べて頂き、他方には通常食に1日約77gの落花生を追加して食べてもらいました(図参照)。ちなみに、この図の数値は以下の式で導かれたものです。
図の数値=(落花生食終了時の値-落花生食開始前の値)-(通常食終了時の値
-通常食開始前の値)
通常は高コレステロール血症という脂肪の病気を持つ人に更に脂肪たっぷりの落花生を1日77gも食べさせるのは無謀だと思われるかもしれません。しかし、結果は逆でした。総コレステロールは変化しませんでしたが、善玉コレステロールであるHDL‐コレステロールが増加して、総コレステロール/善玉コレステロールの値や悪玉コレステロール/善玉コレステロールの値は減少しました。ここでいう悪玉コレステロールとはLDL-コレステロールのことです。これらの結果は心臓や血管の硬化を防いで心筋梗塞などの虚血性の病気を起しにくくするというものでした。そして、落花生を食べることで、身体が持っている抗酸化能力が13%も増加しました。この抗酸化能力もまた低いと心筋梗塞や狭心症を起し易くなることが知られています。
加えて、落花生の薄皮に含まれるレスベラトロールなどのポリフェノール類も心臓や血管の衰えに効果があると報告されています。良く知られた例が、ヨーロッパで行われたフレンチ・パラドックスと通常呼ばれる試験です。良質な脂肪とポリフェノール。心臓と血管に良いものを一緒に摂れる落花生を食生活の中で上手に生かしたいものです。