肝臓に無理を強いる季節になりました。東京消防庁の調べに拠れば、急性アルコール中毒で搬送される患者数は、ここ5年間で30%以上増加しており、最も多いのは12月となっています。また、急性アルコール中毒と聞くと若い人たちを想起してしまいがちですが、確かに最も搬送が多いのは20歳代ですが、次いで60歳以上となっています。高齢者も十分に注意が必要なのです。急性アルコール中毒まではいかなくとも注意をしたいのが飲酒です。特に、長期的には肝臓への影響に配慮する必要があります。
肝臓ではエネルギー変換作用、解毒作用など私たちの生命を維持するための働きがたくさんあります。肝臓の機能を高めるためには、過剰な解毒作用を行なわせないような食生活を持つことが大事になりますが、現在では、食事性脂肪(私たちが食べる油)を活用して肝臓機能を高める研究が進んでいます(例えば、World J Gastroenterol 20(7),1746(2015))。肝臓に蓄えられる脂肪酸(脂肪が分解して出来たもの)は肝臓の内外で作られたものと同時に食事からやってきた脂肪を利用します(図参照)。この脂肪酸は肝臓の中で再度グリセリンと一緒になって中性脂肪に変化します。この中性脂肪が肝臓に溜まると肝臓の機能が低下するのです。図の中の「食事由来脂肪(酸)」として推奨されているのがオメガ9のオレイン酸です。酸化の影響を受けにくく、肝臓の脂質代謝を促してくれます。既にご承知のように、このオレイン酸をたくさん含む食品が落花生です。特に、オレイン酸の含有率が高いハイオレック種は効果的と言えます。更には、これまで書かせて頂いたように、落花生の薄皮に含まれるポリフェノールは肝臓を保護する抗酸化作用を持っていますので、落花生は肝機能を高める食品なのです。