落花生はその約50%が脂肪(油)で高カロリー食ですが、既に書かせて頂いたように、その脂肪(油)の多くは良質のオレイン酸です。世界で4200万トン以上(ちなみに日本でも馴染みとなったアーモンドは約120万トン)も生産されている落花生はその栄養効果についてもたくさんの研究がなされています。今回はその中でも体重の増減について書かせて頂きます。落花生を食べた時の体重の増減については2002年に15名の健常なボランティアに通常の食事に加えて500キロカロリー(約100g)もの落花生を8週間に亘って毎日食べてもらう試験が有名です(Int J Obes Relat Metab Disord 26,1129(2002))。この研究ではボランティアはカロリー計算から3.6kg太ると予想されましたが、結果は1kgだけでした。また、1994年から1996年に調査された14262人におよぶ落花生の摂取調査をまとめた研究(J Am Coll Nutr 23,660(2004))でも、落花生を食べる人は、栄養をバランスよく摂っていることが示されました。タンパク質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの摂取が落花生を食べていない人よりも多かったとの結果が出ています。さらに、この疫学研究では、落花生を食べる人は食べない人に比べると肥満指数であるBMI(Body Mass Index;体重を身長で2回割って出される数値)が小さいという結果が出ています。特に子どもさんにはこの傾向が顕著でした。つまり、落花生を食べると摂っているエネルギーは大きいのに、太らないということになります。
ただし、ここでは示しませんが、短い期間だけ食べると逆に太るという研究結果もたくさん出ています。落花生は毎日少量でも構わないので習慣付けて食べるのが良いようです。ちなみに、私自身、以前から落花生は食べ易い食品だと思っていたのですがそれを数字で表したデータがありましたので最後に紹介させて頂きます(図参照)。いろいろな加工を施したアーモンドと落花生の最初のひと噛みに要する力を測定したものです。落花生は無理なく噛むことが出来ますね。これは咀嚼力が弱い子どもさんや高齢者には嬉しいことです。食べ易い落花生を毎日の食生活に活用したいものです。