栄養治療食ってご存知ですか?現在、世界で約8億5000万人の人がエネルギー、タンパク質、微量栄養素(ビタミン・ミネラル)などが不足する飢餓のために、いわゆる抵抗力が落ち、感染症などの病気で苦しんでいます。特に、5歳以下の子どもたちはこの飢餓率が高く、1億4600万人が飢餓の指標となる低体重を示しています(地域は図参照)。栄養治療食は海外ではRUTF(Ready to use therapeutic food)と呼ばれており、少量で多くのエネルギーを得られるだけでなくビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に配合され、飢餓による病気の治療に絶大な効果を発揮しています。
この栄養治療食の代表がピーナッツを主原料にした「プランピーナッツ」です。この製品は、フランスのニュトリセットという会社が開発しました。ピーナッツペースト(ピーナッツバターやジャムのようなもの)を基本にピーナッツの植物性脂肪を生かした画期的な栄養治療食です。1個は92gですが、500キロカロリーものエネルギーを得ることができます。これまで用いられて来た飢餓用粉ミルクのように清潔な水も必要なく、生後6ヶ月の乳児から大人まで飢餓による病気の治療に使うことが出来ます。また、冷蔵庫などが少ない地域では保存も重要です。この「プランピーナッツ」は2年間も常温で保存が出来る優れた食品です。製造は、粉ミルク、砂糖、油脂にピーナッツパウダーと栄養素ミックスを入れ、成型・殺菌したものですが、その栄養の重要な部分はピーナッツが担っています。また、より多くの飢餓に苦しむ人たちの手に渡るように、値段の問題も大きな要素ですが、ピーナッツは価格が安定しているだけでなく、栄養内容の割りに廉価で手に入れることが出来るために将に理想の食材となっています。