落花生を美味しく食べるためには、香り、甘味、サクサク感、そして硬度が重要です。しかし、落花生は他の食材と同様に長期間の保存によりこれらは衰えていきます。また、落花生の特徴である健康に役立つ脂肪(油)も劣化してきます。
このために品種改良されたのが、ハイオレイック落花生です。ハイオレイック落花生は英語標記では“High Oleic Peanuts”です。Highは多い、Oleicは脂肪酸のひとつのオレイン酸を表します。つまり、たくさんのオレイン酸を含む落花生の開発が長期間の保存による香りや脂肪の劣化を防ぐのです。表を見て頂くと分かるようにハイオレイック落花生は通常の落花生に比べるとオメガ6であるリノール酸が少なく、オメガ9であるオレイン酸が多いのが特徴です。
これに加えて、現代人はオメガ6であるリノール酸を摂り過ぎていると言われています。リノール酸は、人間の身体では作ることができない必須脂肪酸ですが、摂り過ぎると善玉コレステロール(HDLコレステロール)を下げてしまうことが知られています。また、免疫力を下げて、身体の抵抗性を弱めてしまうという報告もあります。
ハイオレイック落花生は品種として確立してから年月が経っていないため、世界的な生産はまだ極く僅かです(研究もここ10年くらいの間にようやく盛んになって来ました)。現在はアメリカのテキサス州が主な産地です。このテキサス州はアメリカ全体の10%前後の生産量です。その他にはアルゼンチンやオーストラリアでも作られています。
現代の食材は日々進化していますが、ハイオレイック落花生もそのひとつなのです。